施工実績

伏見区 T様邸 耐震改修屋根葺き替え工事

伏見区のT様より、大屋根からの雨漏りの修理・修繕も兼ねた耐震化屋根葺き替え工事をご依頼いただきました。

二階の天井に雨漏りしておりました。

京都市の耐震リフォーム支援事業の補助金制度を利用されたのですが、現状の雨漏りの有無は問われませんので、雨漏りの修理・修繕を期にこの制度を使い屋根の葺き替えをされる方が多いと思われます。

 

 

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屋根の葺き替えと同時に外壁塗装も行いました。

耐震化工事で制度を利用し、屋根の軽量化や屋根構面の強化、または耐震壁の設置などの工事を行えば、付帯工事として外壁の劣化部の修繕と言うメニューで補助金を申請する事が出来ます。

これはモルタル壁に大きなクラックが走ってたり、外壁が鉄板波板で錆等による劣化が激しくて貼り替えを行ったりした場合、最大5万円を補助されるものです。

モルタル壁の場合、受給条件の昭和56年以前に建築された住宅というところで築36年も経てば少なからずクラックは発生していますので、使えるケースが多いです。

また屋根工事と同時に外壁塗装をされるお客様も多くいらっしゃいますが、外壁塗装の際は必ずクラック部にシーリング材を打ちます。なので付帯工事メニューで申請をしますと外壁塗装において5万円ご自身のご負担が軽くなる訳です。

ただし付帯工事としてと言うところがありますので、これだけを申請する事は出来ません。

 

 

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外壁塗装は、エスケー化研の水性セラミシリコンを採用致しました。

塗料のトップメーカーで、シリコン系外壁塗料では絶大な信頼と実績を誇り、戸建てのリフォームにおきましてはそのコストパフォーマンスからもシェア率ナンバーワンの塗装材と言えます。

また、雨樋も一緒に取替えを致しました。

 

 

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塗装もさることながら、雨樋の縦の部分もスッキリしました。

 

 

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落下物・転落防止及び塗装の為の足場を組みます。

 

 

 

~ここから工事のご紹介となります。~

 

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左の写真をご覧下さい。

雨漏りの原因は瓦のずれに因る物でした。

瓦の下に葺いてある土が経年劣化により、砂状に変わっていきます。

日本瓦は昔は今と違って釘で留め付けをしたりしませんでした。(地域により違いますが)

一説によりますと地震の時に瓦を振り落とし、免震するためだとか。実際熊本大地震の際、熊本城が倒壊しなかったのは瓦を振り落とす免震システムが働いたからとも言われております。

話は逸れますが、京町家は土台(束石やコンクリート基礎)と柱とを緊結することはしません。

地震時に柱を土台の上で滑らして免震するためです。(伝統構法と呼びます)

現在は強固なコンクリート基礎に土台(木の土台)を緊結し、その上に載る柱を金物でまた緊結します。

ガチガチに固めて揺れを抑え込む免震システムをとっています。(在来工法と呼びます)

話は元に戻りますが、瓦が釘などで固定されて無ければ割れた時の差し替えも容易ですし、補修の際も作業が楽に行えます。ここで問題なのが瓦の寿命に比べて、葺き土が早く劣化するためこの様な瓦ズレを起こしてしまうのです。

野地と瓦の接着剤となる葺き土は、経年劣化により表面が砂状になり瓦がズレだしていきます。

比較的新しい瓦を捲りますと瓦の裏に土が固まりで付いてきますが、古い瓦は簡単にめくれます。

これが瓦のズレの原因で、ズレが大きければ雨漏りを引き起こしまう訳です。

 

右の写真をご覧下さい。

真ん中位の瓦が割れていますが、表面がそがれてる様に割れています。

この様な状態を凍割れと呼んでおります。これは瓦の中に含まれる水分が低温で膨張してはじける様に割れる現象です。

(瓦の個々の含水率により変わってきます。瓦を生産する産地によって大きく変わっていきます。)

瓦が相当劣化していますので、踏めば簡単に割れてしまいます。

一つの屋根でも日当たりの悪い面や方向(北向きなど)によく見られます。

 

 

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瓦と土を降ろし野地の状態にした後は、補強垂木を取り付けました。

 

 

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そして12mm構造用合板を貼っていきます。

 

 

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新設する屋根材はアイジー工業(株)のスーパーガルテクトを採用致しました。

こちらは金属横葺き屋根材で非常に軽く、また屋根材の裏面に断熱フォームが貼り付けてあるため屋根断熱が出来、室内の温度上昇を抑制する効果があります。また断熱フォームが雨音を吸収し、金属屋根によくある降雨時の音鳴りも抑制してくれます。費用対効果におきましては非常に優れた屋根材と言えます。

 

 

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2階のお部屋で快適にお過ごしいただくために、棟換気を設置しました。

これは2階の天井内に溜まった熱された空気を外へ排出する部材です。

屋根材の断熱フォームと相まって室温の上昇を抑える効果がありますが、エアコンを効かした程の涼しさにはなりません。葺き替える以前に比べれば「ちょっと違うな」から「以前は昼間入れなかった部屋でも過ごせる様になった」と個人差によりいただくご感想は違います。

ただし殆どの方に多少の差は有れども効果は実感していただいている様に思えます。

 

 

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工事が完了しました。

雨漏りも止まり、断熱性の高い屋根材により快適性も増し、工事費用の負担も軽減出来たとT様には大変喜んでいただきました。

この耐震リフォーム支援事業は年々市民の皆様に周知されて行ってるとは思いますが、やはりまだまだご存じでない方が大多数でもっと多くの方に知っていただきたいと思います。

当社もこの様なホームページなどを通じまして更に多くの方に知っていただき、PRに努めたいと思います。

狭い路地に町屋が密集している市内は特に耐震化を進めていかなくてはならないと思います。

いつ来るやもしれぬ地震に備え、古都の財産または観光資源でもある素敵な町並みを守る事が、大袈裟に聞こえるかも知れませんが現代に生きる私たちの務めの様に思えます。

最後に、T様 この度は工事をご依頼いただきまして誠にありがとうございました。

 

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